Back9C +Blackburn tuning Slide

 久々にBlog更新します。ええい、なんでこんなに日々忙しいのだ。働き方改革って日本国内であったムーブメントだよな。あれ、日本ではないのか、ここは??

 などと、愚痴はさておき、現在私が使っている楽器などを紹介させていただきます。興味ある人がいるとは思えんけど・・

  まず、楽器は「ヴィンセント・バック」の180ML37SP。超ド定番です。この個体を購入したのはかれこれ四半世紀前。東京の石森管楽器店で購入しました。確か当時22万円ぐらいだったと思います。ちなみに今だと店頭価格は30万円程度。給料は四半世紀ほぼ変わらないのに物価だけがひたすら上昇した感があります。いや、私だけかそれは。

 購入前はYAMAHA YTR333を使用していました。当時のカレッジモデルで、カレッジながらもレッドブラスのいわるゆ「赤ベル」仕様で結構吹きやすかったのを覚えています。バックは「キツい」「クラシック向け」という周囲の評価が多かったように記憶しています。私もあまり好きになれず、以降、数々の楽器遍歴を経て今日に至っています。

 しかし、付かず離れずだった180ML37SPのパーツを1点変更したところ、これが素晴らしい吹奏感とトーンの楽器に変貌を遂げました。トーンについては自分がそう思っているだけなのかもしれません。変更したパーツというのは「チューニング・スライド」で、ブラックバーン製のものに変更したのです。

 これまでヘヴィー・ボトムキャップやバック純正のラウンドクルークのチューニングスライドを試したりしましたが、ことごとくオリジナルの方が良く、そもそもオリジナルのバランスはなかなか超えることができない、良く出来たモノだなと感じていましたが、ブラックバーンのチューニングスライドは全く別物と言っていいほどフィーリングの良いパーツでした。私の仕入れたのは「セミ・ラウンドクルーク」のもので、オリジナルのように角張ってもないし、かといって丸いラウンド・クルークでもない。その中間といった感じです。

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 ツバ抜きがアマド・タイプになっています。特長と感じるのは倍音の豊かさと音の輪郭がくっきりとし過ぎない部分。低音から高音まで均一感のある吹奏感・・など。これを装着してからというもの、180ML37がすっかりメイン楽器となりました。「すごい、バックいいじゃん」と。ちなみにこの楽器の個体は1980年代後半頃製造の個体なのですが、この時代は良かった。ある程度プロダクツとして合理化されながらも、割とハンドメイド部分はしっかり作り込んであるように思います。それが、20万円程度で手に入ったのですから、時代の余裕だったんですかねー。今はいいものはあるけど非常に高価なのですよね。

 チューニング・スライドにも増して良い出合いだったのが、バック9Cのマウスピースです。1965~69年に製造された、いわゆる「ノー・ピリオド」(Vincent Bach corpの後にピリオドがなく9Cと刻印されています)の個体です。バックは現在でも楽器本体は優れていると思いますが、マウスピースは何かイマイチ感がありませんか?完全コンピューター制御の製作工程になったせいでしょうか。バックのマウスピースはピリオドの位置などによって製造年代が特定できることから、最近は1980年代~90年代初頭の「Corp.」(Corpに近いピリオドがある「ニア・ピリオド」あたりも「ヴィンデージ・バック」としてややプレミアを上乗せして販売されるようになっています。私はこのニア・ピリオド時代をリアル・タイムに過ごしていましたので、ニア・ピリオド・バックのマウスピースは多数所有しています。5Cなどは予備を含む2本を所有しています。

 しかし、9Cはこれまで全くノーマークで、以前、フレディー・ハバードかリー・モーガンが9Cを使用していたとの記述を見たことがありますが、その前後の8、7、6、5、3、1、10、10ハーフは数種類持っているものの、9は全然意識に引っ掛かりませんでした。ところが、これがすごくいい。というか、私には合っている。ニア・ピリオド9Cとノー・ピリオド9Cは、カンスタルのリム形状比較サイトで比較する限り、「同一」と言ってもよく、多少プレミア価格のノー・ピリオドでなくてもよかったのかもしれませんが、重さが若干異なっているような気がして(実測はしていません)あえて、奇跡的に残存していたノーピリオド9Cのデッドストックも入手しておきました(下写真)。これで多分、死ぬまで9Cでいけるであろうと見込んでいます・・・

 

 

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 ちなみに、箱の当時のオリジナルで、感涙モノの「Mt.vernon」のプリントがあります。

 実はバックのマウスピースはバックボアの広がりが早いという意識があって「キツいのでは」と一時敬遠していましたが、マウスピースの合う、合わないは極端に浅いカップのマウスピースなどを除いては、実はそんなに関係ないのでは、という考えに変わってきました。多分、奏法を改善したのがいちばん大きいと思います。ただ、カップの大きさについては、個々の肉体条件による適正があるとは思います。その意味で私にとっては9番の大きさがだいたいフィットするような気がします。テン・ハーフCでは小さすぎ、7、8番当たりはいいけれど9番が最もフィットすると思っています。

 9Cの特長は、ソフトに吹くとサブトーン気味の渋い雰囲気も出せるし、強く吹くと「ぱりっと」したザ・ハードバップのような音も出せるフレキシブルさにあるのだお思います。四半世紀、トランペットを吹いていますが、今の組み合わせがベストとの確信があります。